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(音楽を聴きながらイメージする)メロディーに誘い出されるように、瞼の裏側に様々なイメージが次々に浮かび、浮かんでは消えていった。具象性や意味を持たない一連の形象だった。それらは意識の暗い縁からぼんやりと現れ、可視領域を音もなく横切り、別の縁に吸い込まれて消えていった。顕微鏡の円形の視野を横切っていく、謎めいた輪郭を持った微生物のように。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 ページ位置:98% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......ろし、ソファに戻って音楽の続きに耳を澄ませた。今度は具体的なことを何ひとつ考えないように努めた。目を閉じ、頭を空白にし、音楽そのものに意識を集中した。やがてそのメロディーに誘い出されるように、瞼の裏側に様々なイメージが次々に浮かび、浮かんでは消えていった。具象性や意味を持たない一連の形象だった。それらは意識の暗い縁からぼんやりと現れ、可視領域を音もなく横切り、別の縁に吸い込まれて消えていった。顕微鏡の円形の視野を横切っていく、謎めいた輪郭を持った微生物のように。 十五分後にまた電話のベルが鳴ったが、つくるはやはり受話器を取らなかった。今度は音楽も止めず、ソファに腰を下ろしたまま、その黒い受話器をただ注視していた。ベルの......
単語の意味
瞼・目蓋(まぶた)
瞼・目蓋・・・目の蓋(ふた)。眼球の表面をおおって、開閉する皮膚のひだ。瞼(まなぶた)。眼瞼(がんけん)。
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(素数をイメージする)素数が手触りを持ったイメージとして、心の中にぽっかり浮かび上がってくる
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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私はどうしたらいいであろうと途方にくれるのであった。だが、私は創作上こういう取り止めない状態に陥ることには、慣れてもいた。強いて焦せっても仕方がない、その状態に堪えていて苦しい経験の末に教えられたことも度々ある。
岡本かの子 / 河明り
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