冷や汗が体温と太陽でぬるまって生暖かく身体の表面を流れ落ちてまた走った。汗ばんだ額に張り付く一筋の前髪、土がなかに入って黒ずんだ爪、かさぶただらけの膝小僧、細かな砂のついたまつ毛、すべてが汗の膜につつまれてぐんなりと心地良い。
綿矢 りさ / 仲良くしようか「勝手にふるえてろ (文春文庫)」に収録 ページ位置:65% 作品を確認(amazon)
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汗(をかく)
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前後の文章を含んだ引用
......たく甘い水を飲み干すのに似た罪悪感を感じて、わざと目立ちやすい広い中庭を逃げる。 犬の駆ける足音が大地をゆるがせて、ふりむくとずっと遠くに砂けむりが立ちこめて、冷や汗が体温と太陽でぬるまって生暖かく身体の表面を流れ落ちてまた走った。汗ばんだ額に張り付く一筋の前髪、土がなかに入って黒ずんだ爪、かさぶただらけの膝小僧、細かな砂のついたまつ毛、すべてが汗の膜につつまれてぐんなりと心地良い。 野生の運動場のような場所に出て派手に転び、また新しい傷を作る。抜けるような青空、大ざっぱに開拓された歓喜と血の染みついた大地。ここで食べつくされるのだとようや......
単語の意味
身体(しんたい)
土(つち)
砂(すな)
前髪(まえがみ)
膝小僧(ひざこぞう)
身体・・・人のからだ。肉体。
土・・・岩石と有機物が混じって細かい粉末状になったもの。有機物は、生物の死骸およびその腐敗物、微生物などから構成されている。砂(有機物が含まれない)とは違い、植物が育ちやすい。
砂・・・岩石が細かくなったもの。岩が徹底的に砕かれたもので有機物が含まれていない。そのため、土(有機物が含まれる)と違って、植物は育ちにくい。砂場や砂漠に雑草が生えにくいのもこのため。
前髪・・・1.額の上部の頭髪。額の前の方に短く垂らした髪。
2.昔、女子または元服前の男子の、額の前に別に束ねた髪。向こう髪(むこうがみ)。
2.昔、女子または元服前の男子の、額の前に別に束ねた髪。向こう髪(むこうがみ)。
膝小僧・・・膝の関節の前の部分。膝頭(ひざがしら)。語源は、烏摩勒伽(うまろきゃ)という夜叉の膝に、小象(小僧ではなく)がついているからとか、膝頭を小僧の頭にたとえたなどといわれる。
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如何にも元気のない風で夜のせいか顔色も青白く見えた。
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煮え湯を飲まされるような屈辱
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
血の上 るようなみっともなさを感じる
林芙美子 / 新版 放浪記
くすぐったいような顔つき
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汗だくだ。額を伝った汗が眼に染み込んでくる。
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