TOP > 人物表現 > 性格・態度 > 見栄っ張り・虚栄心が強い
(プライドが高い)近所の酒屋の主人がウィスキーグラスをおまけに紙袋に入れてくれたことがある。「これは普通、リザーブにつけるおまけなんだけどね」 おれは、それ以来その酒屋へ二度と行かなかった。〝憐れまれた〟と思ったのだ。その頃のおれには、貧しいがゆえのプライドのようなものがあった。自分は〝特別な人間〟だという意識。世に容れられず、また力の試し方を知らないためによけいに狂おしくつのっていく自分の才能への過信、不安、その両方が胸の奥で黒く渦巻いていた。おれは自分を憐れんだ酒屋の主人、および、憐れまれた自分、双方を許せなかったのである。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで 作品を確認(amazon)
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見栄っ張り・虚栄心が強い
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単語の意味
渦巻く(うずまく)
胸(むね)
渦巻く・・・1.水や煙がグルグルと回って渦になる。ある感情が心の中に渦のようにグルグルと存在する。
2.気持ちや考えが次から次へと起こって、ごちゃごちゃになる。
2.気持ちや考えが次から次へと起こって、ごちゃごちゃになる。
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「エルメス熱」という麻布特有の風土病なのだ。見栄っ張りほど罹患しやすく、発病すると「自分は金持ちである」という幻覚を抱いて、少しでも金持ちらしく着飾ろうと悪戦苦闘する。《…略…》住民のほとんどは明らかに「ベンツ熱」を発症しているし、他にも「高級大型犬熱」(「ゴールデン・レトリバー型」「シベリアン・ハスキー型」など、毎年、症状が変わるらしい)の患者なんか、もうウヨウヨいるよ。
中村 うさぎ / 浪費バカ一代―ショッピングの女王〈2〉 amazon
虚栄心や病的傾向や名誉心の入り交った、複雑な性格の持ち主
芥川竜之介 / 歯車
令嬢などは自尊自信の念から骨も肉も皮まで出来ていて、何でも男子に負けないところが敬服の至りだ。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
彼は何となく、何かに押されてねじくれてしまった運命の中で必死にプライドを保ち続けてきた人特有の、 不明瞭 な閉じ方をしていた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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(無意識に時間を正確に測るという)特技というよりは、どちらかといえば、慢性的な皮膚炎や膀胱炎のような厄介なおまけにすぎないのではないか、と雪子は自覚していた。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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