定規のようなしっかりした目を向ける

永遠に消えない刺青でも彫るようにして、自分自身の内側に刻印する。

刮目（かつもく）する。

（遠くから見る）十和子の目は望遠レンズのように水島の表情を捉える。

松乃は私の目をまっすぐに見た。その目は私の心を突き通すような鋭さがあった。

（別れ際）戸口のところで水島は振り返る。十和子の姿を目のなかに刻みつけようとするかのように、あるいはむしろ自分自身の姿を、二度と消えない刻印として十和子の目に残そうとするように、一秒か二秒の間動かない。それから十和子のすわっている場所からは後ろ姿が見えなくなって、玄関のドアが静かに閉まる音が届く。

眼の届くまで眺めて行った。

女は僕の話を真剣に聞いていることを示すために、じっと僕の目を見ていた。

わざと瞳の焦点を外しながらちょっと女の様子を覗きすぐにまた眼を閉じた。

ソファに身を預け、しばらく無言で互いの胸の裡を探っていた