片帆の力を借りながら、テンポの正規的な汽鑵 の音を響かせて、木下の乗る三千噸 の船はこの何とも知れない広大な一鉢の水の上を、無窮に浮き進んで行く。
岡本かの子 / 河明り ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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帆船・ヨット
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前後の文章を含んだ引用
......なポーズをしばらく取り、容易には崩れない。浪間と浪の陰に当るところは、金沙 を混ぜた緑礬液 のように、毒と思えるほど濃く凝って、しかもきらきら陽光を漉 き込んでいる。片帆の力を借りながら、テンポの正規的な汽鑵 の音を響かせて、木下の乗る三千噸 の船はこの何とも知れない広大な一鉢の水の上を、無窮に浮き進んで行く。舳 の斜の行手に浪から立ち騰 って、ホースの雨のように、飛魚の群が虹のような色彩に閃 めいて、繰り返し繰り返し海へ注ぎ落ちる。垣のように水平線をぐるりと取巻いて、立ち......
単語の意味
無窮(むきゅう)
無窮・・・窮(きわ)まる(=限界に達する)ことが無いこと。限りのないこと。果てしなく続くこと。無限。無疆(むきょう)。
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帆船・ヨットの表現・描写・類語(乗り物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
入り江の入り口のあたりには大きなヨットが一隻停泊し、帆を下ろした高いマストが巨大なメトロノームみたいにゆっくりと左右に揺れていた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
元気に風を孕 んだ帆船は 白いしぶきを蹴って海へ出てゆく
林芙美子 / 新版 放浪記
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円い窓の向うに大きな波のしぶきが飛んでいる。
林芙美子 / 新版 放浪記
電車はがたごと揺れながら、ゆるやかなカーブを曲がってゆく。ネオンや看板をちりばめた景色が窓を通り過ぎる。車内は白く明るく、家路に向かう人々はみな黙って眠そうに連なっている。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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