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片帆の力を借りながら、テンポの正規的な汽鑵きかんの音を響かせて、木下の乗る三千トンの船はこの何とも知れない広大な一鉢の水の上を、無窮に浮き進んで行く。
岡本かの子 / 河明り ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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帆船・ヨット
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前後の文章を含んだ引用
......なポーズをしばらく取り、容易には崩れない。浪間と浪の陰に当るところは、金沙きんさを混ぜた緑礬液りょくばんえきのように、毒と思えるほど濃く凝って、しかもきらきら陽光をき込んでいる。片帆の力を借りながら、テンポの正規的な汽鑵きかんの音を響かせて、木下の乗る三千トンの船はこの何とも知れない広大な一鉢の水の上を、無窮に浮き進んで行く。へさきの斜の行手に浪から立ちのぼって、ホースの雨のように、飛魚の群が虹のような色彩にひらめいて、繰り返し繰り返し海へ注ぎ落ちる。垣のように水平線をぐるりと取巻いて、立ち......
単語の意味
無窮(むきゅう)
無窮・・・窮(きわ)まる(=限界に達する)ことが無いこと。限りのないこと。果てしなく続くこと。無限。無疆(むきょう)。
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