貯水池の 睡蓮 が非常に美しかった。森にかこまれた 濡灰 色 の水面に雨に 烟ってぼんやりと白い花がぽつぽつ浮んでいる。
志賀 直哉 / 濠端の住まい「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 ページ位置:33% 作品を確認(amazon)
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雨の景色、視界
睡蓮
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前後の文章を含んだ引用
......湯町という駅まで顔を雨に打たし、我武者羅に歩いた。雨は骨まで透り、マントの間から湯気がたった。そして私の停滞した気分は血の循環とともにすっかり直った。 途々見た貯水池の睡蓮が非常に美しかった。森にかこまれた濡灰色の水面に雨に烟ってぼんやりと白い花がぽつぽつ浮んでいる。吹き降りに見る花としてはこの上ないものに思われた。 湯町から六、七町入った山の峡に玉造という温泉があるが、その時ちょうど、帰るにいい汽車が来たので、私はそのまま......
単語の意味
煙る・烟る(けむる・けぶる)
煙る・烟る・・・霧やかすみなどで辺りがぼやける。白煙や色のある煙がもくもくと出て、辺り一面に広がる様子。
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色のベタベタにじんでいるような街路
林芙美子 / 新版 放浪記
雨が白い糸となって対岸の色を消す
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
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雨の脚が強くなって、とゆがごくりごくり喉を鳴らし出した。
梶井基次郎 / 城のある町にて
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(百日紅)私の知るかぎりの百日紅はみな暑くるしい、ときには 獰猛 な感じすら受ける花であるのに、「伽羅」に植わっていたそれだけは、なぜか別物のように上品で、 静謐 な感じがした。つややかな幹も、葉も、薄くれないの花も。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
北の国ではどの樹も、細く薄くはかない葉を、抗議のように空へ向けて差しのべる
中島 みゆき / 泣かないで・女歌(おんなうた) amazon
あたりに漂う芳香には 揮発 性があり、あたかも生命の息吹のように、はかなく天に昇る。それゆえにあらゆる宗教的な儀式において、乳香と 没薬 は重要な役割を演じるのである。香りにはどこか霊的な働きがある。
新渡戸稲造 訳:岬龍一郎「いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道 (PHP文庫)」に収録 amazon
よく見るとうすい葉の陰に細かい実が固まっていた。緑からピンク、そして赤、黒へと、グラデーションになって連なっている。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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