磯の香りのするうどん

うどんスキの艶めき立つような味と彩りは、大阪人でなくては創造できなかった味覚であろう

どろっとした濃厚なままの卵をうどんに絡ませて食べる。油揚げをかじり、うどんをすすり、また油揚げをかじるというひと時を過ごした後、再びツユをすすろうとすると、また生卵がにょろにょろと懐かしそうに押し寄せてくる

鶏のいい香り、味噌の渋みのある風味が魅力の煮込みうどん

うどん自体はそれほど太くないが、コシは強く歯ごたえもある。ツユや薬味との相性もいい。

日本人の主食がお米なら、イタリアはスパゲティ、フランスはパン、そしてドイツはじゃがいもといえるだろう。

油にまみれた唇に油にまみれた焼きそばをワシワシと大量に押し込むおいしさ。だんだん身を持ち崩していくようなやるせなさ。

そばは黒く太く、それが強く縒ったように捻れている

問題は運ばれてきたスパゲティーの味が災厄と表してもいいくらいひどかったことだった。麵は表面がいやに粉っぽくて中に芯が残っており、バターは犬だって食べ残しそうな代物だった。僕はなんとか半分だけ食べてからあきらめ、ウェイトレスにあとは下げてくれと言った。

別で用意されたネギ、みょうが、生姜、ノリなどの薬味を各自好みの配分でタレの中にどさどさ投入し、そいつにそうめんと天ぷらを同時にひたして即座にすすりこむときの旨さときたら！