ぼんやりはぼんやりのままで鮮明に像を結ばず
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 ページ位置:71% 作品を確認(amazon)
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ぼんやり見える
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......校の校長先生だった相坂先生」 ぼそぼそした睦月のしゃべりを聞いていたときには、その物言いに誘われて、ぼんやりとでも合宿所なるものの正体が見えた気がしていたのに、ぼんやりはぼんやりのままで鮮明に像を結ばず、結局そのままさらにぼやけてしまった。だから、合宿所はまだ、あたしにとって見知らぬ場所のままだ。 でも、おぼろげだけれど、わかったこともある。 睦月がとても野球......
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空気がいやにかすんでいた。まるでどこかからたき火の煙がまぎれこんでいるみたいにね。ぼんやりと白く濁っているんだ。だから遠くの方はよく見えない。でもじっと目をこらしていると、空気は少しずつ透明になっていった。本当に透明になっていったのか、あるいはその不透明さに僕の目が慣れてきたのか、そのどちらなのかは僕にはわからない。
村上春樹 / 双子と沈んだ大陸「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
窓にはこんなふうに向こうが見えないくらいに水滴がいっぱいついてた。その向こうに線路 脇 のフェンスの緑の金網があって、さらにその向こうにやっと、桜の桃色があった。いちめんに。ぼやけた2重のフィルターを通して初めて気づいた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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