寒気のために比重の高くなった海の水は、凍りかかった油のような重さで、物すごいインド藍 の底のほうに、雲間を漏れる日光で鈍く光る配縄の餌 をのみ込んで行く。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:37% 作品を確認(青空文庫)
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冬の海
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前後の文章を含んだ引用
......るまでには、朝早くから始めても、日が子午線近く来るまでかからねばならないのだ。君らの船は艪 にあやつられて、横波を食いながらしぶしぶ進んで行く。ざぶり‥‥ざぶり‥‥寒気のために比重の高くなった海の水は、凍りかかった油のような重さで、物すごいインド藍 の底のほうに、雲間を漏れる日光で鈍く光る配縄の餌 をのみ込んで行く。 今まで花のような模様を描いて、海面のところどころに日光を恵んでいた空が、急にさっと薄曇ると、どこからともなく時雨 のような霰 が降って来て海面を泡立 たす。船と船......
単語の意味
延縄・配縄(はいなわ・はえなわ)
日光(にっこう)
延縄・配縄・・・一本の太い縄に、適当な間隔をあけて、釣り針の付いた釣り糸をつけて広範囲の魚を釣る道具。
日光・・・日の光。大陽光線。
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黒い毒液をこねまわしたような海に、雪が白い睡眠薬のように降り注ぐ
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
小春日の淡い空を映した海
高樹 のぶ子 / 光抱く友よ amazon
冬の曇空の下の海が、どこまでも広がる鉛色の円盤のよう
北村 薫 / 水に眠る amazon
一月の青く寒く光っている海辺
林芙美子 / 新版 放浪記
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ほとんど風のない午後。どこまでも拡がる水色の透明なビニールのようになった水面
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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