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三原は都電に乗るのが好きだった。べつに行先を決めないで乗る。行先を決めないというのは妙だが、何か考えに行きづまったときには、ぼんやり電車にすわって思案する。緩慢な速度と適度の動揺とが思索を陶酔に引き入れる。頻繁にとまり、そのたびにがたごととぶざまに揺れて動きだす都電の座席に身をかがめる。この環境の中に自分を閉じこめ、思考のただよいにひたるのである。
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:61% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......庁前から新宿行の都電に乗った。 夜の八時をまわってラッシュアワーは過ぎていた。車内は空いている。彼はゆっくりと腰かけ、腕を組んだ。背中にこころよい動揺がある。 三原は都電に乗るのが好きだった。べつに行先を決めないで乗る。行先を決めないというのは妙だが、何か考えに行きづまったときには、ぼんやり電車にすわって思案する。緩慢な速度と適度の動揺とが思索を陶酔に引き入れる。頻繁にとまり、そのたびにがたごととぶざまに揺れて動きだす都電の座席に身をかがめる。この環境の中に自分を閉じこめ、思考のただよいにひたるのである。 三原はつかれたような目をしてそれを考えていた。乗客の話も出入りの動きも邪魔にはならなかった。 駅に呼んだのは、自分が確かに札幌駅に《まりも》で到着したことを河......
単語の意味
妙(みょう)
陶酔(とうすい)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
陶酔・・・気持ちよく酔うこと。心を奪われてうっとりと気持ちのいいこと。
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