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急な傾斜面に立っているような、いまにも転落して行く、安定のない生活
林 芙美子 / 浮雲 作品を確認(amazon)
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冴えない、ぱっとしない人生
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振り返ってみると、それは人生ですらないような気がする。少し起伏はあった。ごそごそと登ったり降りたりはした。でもそれだけだった。殆んど何もしていない。何も生み出していない。誰かを愛したことはあったし、誰かに愛されたこともあった。でも何も残っていない。奇妙に平坦で、風景が平板だ。まるでビデオ・ゲームの中を歩いているみたいな気がする。パックマンみたいだ。ぱくぱくぱくと迷路の中の点線を食べていく。無目的に。そしていつか確実に死ぬ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
七十年の生活をふり顧ってみると溜桶の蛆虫が桶の壁を攀じ登っては落ち、攀じ登っては落ちして依然として汚物の中から脱け出られなかった姿の厭しさが考えられる。
中山 義秀 / 厚物咲 (1955年) amazon
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自分の境遇が、大川の満潮時分に棒杭のあたりに漂う塵あくたのように思える
今 日出海 / 天皇の帽子 amazon
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