寒さをかすかな光にしたような雲のない空が、息もつかずに、凝然として延び広がっていた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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冬の空
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前後の文章を含んだ引用
......所は海産物製造会社の裏の険しい崕 を登りつめた小山の上の平地だった。 全く夜になってしまっていた。冬は老いて春は来ない――その壊 れ果てたような荒涼たる地の上高く、寒さをかすかな光にしたような雲のない空が、息もつかずに、凝然として延び広がっていた。いろいろな光度といろいろな光彩でちりばめられた無数の星々の間に、冬の空の誇りなる参宿 が、微妙な傾斜をもって三つならんで、何かの凶徴のようにひときわぎらぎらと光っ......
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なんという美妙な美しい色だ。冬はあすこまで遠のいて行ったのだ。そう思うと、不幸を突き抜けて幸福に出あった人のみが感ずる、あの過去に対する寛大な思い出が、ゆるやかに浜に立つ人の胸に流れこむ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
事務所は前日で正月休みに入っていて、電車もそろそろ人が少なくなりつつあった。こんな時期に刑務所に来たこともなかったので、幾らか感傷的な気分になった。 年の瀬の静けさが、一年分の重みを、憂鬱にしっかりと加えていた。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
窓を開けると柔らかい陽と草の匂いの交じった春の匂いがして、桜がつぼみをつけていること、これがしばらくすると満開の淡いピンクの空間をうみだすこと。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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