他の教室の課業も皆一度に終った。すると今まで室内に密封された八百の同勢は鬨 の声をあげて、建物を飛び出した。その勢 と云うものは、一尺ほどな蜂 の巣を敲 き落したごとくである。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:62% 作品を確認(青空文庫)
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鬨の声・喊声(かんせい)
騒がしい・ざわめき
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前後の文章を含んだ引用
......る。借金は必ず返す者と二十世紀の今日 にもやはり正直に考えるほどの主人がこの講話を真面目に聞くのは当然であろう。 やがて時間が来たと見えて、講話はぱたりとやんだ。他の教室の課業も皆一度に終った。すると今まで室内に密封された八百の同勢は鬨 の声をあげて、建物を飛び出した。その勢 と云うものは、一尺ほどな蜂 の巣を敲 き落したごとくである。ぶんぶん、わんわん云うて窓から、戸口から、開きから、いやしくも穴の開 いている所なら何の容赦もなく我勝ちに飛び出した。これが大事件の発端である。 まず蜂の陣立て......
単語の意味
鬨の声(ときのこえ)
蜂(はち)
尺(しゃく)
鬨の声・・・鬨(たたか[=戦])うときに上げる声。やる気を出すために、みんなで一緒に叫ぶ声。エイエイオーなど。「鬨」は、訓読みで「たたか(う)」「かちどき」とも読める。
蜂・・・膜翅目(まくしもく[=ハチ目])のうち、アリ以外の昆虫の総称。頭・胸・腹を境にくびれていて、特に腹は細長い。ハチといえば毒針で刺すものと思われがちだが、実際に刺すハチはほんの一握りに過ぎない。大きな巣を作って家族で暮らすものもハチ全体で見ると一部のみ。
尺・・・1.尺貫法での、長さの単位。寸(すん)の10倍、丈(じょう)の10分の1。一尺は30.3センチ。もともとは、手を広げたときの親指の先から中指の先までの長さを1尺といった。この長さは約18センチで、現在の尺の6割ほどの長さ。
2.1が転じて、ものさし。
3.1が転じて、丈(たけ)。
4.1が転じて、映画のフィルムやカットの長さ。
2.1が転じて、ものさし。
3.1が転じて、丈(たけ)。
4.1が転じて、映画のフィルムやカットの長さ。
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鬨の声・喊声(かんせい)の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
わああああ、と、口をほどかれた風船のように、ファンの喚声がびゅんびゅんと飛び交う。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
小鳥のように声を挙げた三人の子供たち
芥川龍之介 / 蜜柑
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宗右衛門町の、しっとりとしたにぎわい
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
宿に着いた修学旅行の生徒のようにひとしきりザワつく
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
生徒は、がやがや、わやわや、まるで雀のけんかだった。
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
夜中になっても人が何時までもそうぞうしく出はいりをしている。
林芙美子 / 新版 放浪記
にぎやかすぎて何が何だかわからないくらいだった。
吉本 ばなな「アムリタ(上) (新潮文庫)」に収録 amazon
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チェロの弦をふるわすような、脳髄の底を透明な振動をくぐって行くような響き
野間 宏 / 崩解感覚 amazon
大きな音によろけるくらいに圧され
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
(木に投げた)石が葉を分けて戞々 と崖へ当った。
梶井基次郎 / 闇の絵巻
「声・口調」カテゴリからランダム5
ひたすら冷ややかな入り込む余地のない、他人を遮断する言い方
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
信号が青になった途端、愛子と大地は同時に走り出した。「危ないって!」後ろから聞こえてくる大人たちの声が、ふたりの汗ばんだ背中をつるりと滑り落ちていく。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
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