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鼠が黙るとあたりはしんとして、時計の音だけが聞こえた。雪がそれ以外の全ての音を吸いこんでいた。まるで宇宙の中に我々二人だけがとり残されたような気分だった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:93% 作品を確認(amazon)
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室内の闇・部屋が暗い
静けさ・静寂
雪
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前後の文章を含んだ引用
......もんさ。だって三十年にわたる人生の最後の最後にやったことが時計のねじを巻くことなんだぜ。死んでいく人間が何故時計のねじなんて巻くんだろうね。おかしなもんだよ」 鼠が黙るとあたりはしんとして、時計の音だけが聞こえた。雪がそれ以外の全ての音を吸いこんでいた。まるで宇宙の中に我々二人だけがとり残されたような気分だった。「もし……」「よせよ」と鼠が僕の言葉を遮った。「もうもしはないんだよ。君にもそれはわかっているはずだ。そうだろ?」 僕は首を振った。僕にはわからないのだ。「もし......
単語の意味
鼠(ねずみ)
鼠・・・1.ネズミ科の哺乳動物の総称。人家の付近などに住む、敏捷な小動物。繁殖力が高く、食害や伝染病の原因となるため嫌われている。
2.鼠色(ねずみいろ)の略。
3.比喩として、こそこそと悪事を働く者、ひそかに害をなす者のたとえ。
2.鼠色(ねずみいろ)の略。
3.比喩として、こそこそと悪事を働く者、ひそかに害をなす者のたとえ。
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室内の闇・部屋が暗いの表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
蛍光灯も冷蔵庫も、既に闇に溶け込んでいる。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
台所は電気が消してあるので巻子の背後には廊下の蛍光灯の安っぽい光がちろちろして全体的に灰色であった。
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
真っ暗で、一筋の灯りさえ漏れていない。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(迎えに車は)僕が近づくと何も言わずにドアを開け、僕がきちんと座席につくのを見届けてからドアを閉めた。そして自分も運転席に乗り込んでドアを閉めた。何から何まで新しいトランプのカードを一枚ずつめくる程度の音しかしなかった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
静寂が泉のように胸の中に溢れて来る
福永 武彦 / 草の花 amazon
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雪の表現・描写・類語(雪・霜・あられのカテゴリ)の一覧 ランダム5
雪が街の音を吸い込みながらいつまでもいつまでも降り続けていた。音というものがまるで聞こえなかった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
雪の降る日は暖かい。道民には共通の感覚だろう。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
砂塵のように、雪が人気のないホームに幾重もの襞(ひだ)となって流れている
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
大地の声が、愛子の耳の中にある空洞を優しく埋める。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
相棒が用事で出ていってしまうと部屋は急にがらんとした。電気時計の針だけが音もなく回りつづけていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
ラッパのさきは、朝顔のように口がひらいていた。
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
「雪・霜・あられ」カテゴリからランダム5
雪の降る日は暖かい。道民には共通の感覚だろう。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
おそろしく静かな雪だった。固くもなく、べっとりとした湿り気もない。それはゆっくりと空から舞い下り、積る前に溶けた。そっと目を閉じるようなひそやかな雪だった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
(何十年ぶりかの大雪)ひとときも止む気配がなく、だんだんに勢いが激しくなって、夕方には空も空気も風も雪に埋まった。その日から、雪国に迷い込んだような毎日が続いた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
「光と影」カテゴリからランダム5
衣の射る絹の光
横光利一 / 日輪
舞台からわずかに届く明かりを受け、暗がりの中に整った輪郭を描いていた。こんな顔をした人だったのかと、今初めて発見したような気がした。
小川 洋子 / 一つの歌を分け合う「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
裸電球が鏡に入って 眉 が引けない。
浅田次郎 / うらぼんえ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
「室内のようす」カテゴリからランダム5
店の電気は半分ほど消えていて営業している雰囲気ではなかったが、まだ人影が店のなかで動いていた。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
壁に窓用としてくり抜かれた空間にぽっかりと夜が浮かんで、風化した髑髏(どくろ)のよう
中島 みゆき / 泣かないで・女歌(おんなうた) amazon
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