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......しょう。ましてや、私たち人間はまさに記憶によってできあがっていると言っても良いのではないでしょうか？」　響野は早口ではあるが、舌を噛むこともなく喋りつづける。「記憶には手続き記憶、意味記憶、エピソード記憶の三種類があるのは有名ですね。まず手続き記憶ですが、これは簡単に言ってしまえば、『自転車の乗り方』です。一度憶えると、おそらく二度と忘れない。身体が覚えている記憶です。次の意味記憶とは文字どおり、『意味』の記憶です。『信号の赤は止まれ』『アインシュタインは左利きだ』『私は男だ』『男は女ではない』など、一般的な知識はこれに当てはまると考えていいでしょう。そうして最後のエピソード記憶、これは思い出を指します。『生活』の記憶です。それぞれの記憶は脳の別の部分が保管しています。そのため、ある記憶ははっきりと憶えているのに、別の記憶はさっぱり保管できないということがままあります。アルツハイマーという病気はエピソード記憶を失うもので意味記憶についてはしっかりしています。だから日々の生活には困らないのです。その逆の症状の病気もあります。ところで、皆さんはどれか一つのみ思い出を保存できるとしたらどれにするでしょうか？」　客たちの顔を見渡す。脈略もなく質問を投げかける......

単語の意味

さっぱり（さっぱり）

さっぱり・・・１．不快感やわだかまりなどがすっかり消えて気持ちがいいさま。気持ちの爽快なさま。すっきり。
２．（性格や味覚などが）しつこくないさま。淡泊なさま。嫌味のないさま。あっさり。
３．あとに何も残らないさま。すっかり。前に「きれい」を伴うことが多い。
４．（後に打ち消しの語を伴って）全然。まったく。まるきり。
５．物事の状態で、好ましくない面ばかり目立つさま。全くだめだ。