せんべいはうるち米、おかきやあられはもち米。せんべいはご飯の親戚、おかきやあられは餅の親戚。

薄い生地の中へふんだんに練り込まれた四万十川のりと青さのり。青のりの香りを存分に楽しむために生まれたお煎餅は、ほどよい塩味が磯の香りがよく合っている。

前歯でガリリッとかんで、舌の上へ運ぶまでに、めためたになってしまふやうでは駄目なのである。舌の上でぴりッと醤油の味がして、焼いたかうばしさがそれに加はつて、しばらくしてゐる中に、その醤油がだんだんにあまくなる。そして噛んでゐる間にすべてがとけて舌の上にはたゞ甘味だけが残るやうでなくてはいけない。

センベイは、もう三カ月以上も前から缶の中に入っているから、明らかにしけっている。一つ割ってみると、パリッと割れないでミシミシと割れる。

丸いとはいっても、少し波打っているのがせんべいというもの。それがコンパスをひいたような完ぺきな円形をしている。

ひんやり冷えたわらび餅は、夏そのものの味と舌触り

独特の香ばしさとふんわり柔らかな食感

睡眠覚ましの妙法。せんべいを食うのである。それも堅くて容易に噛み砕けないのを、パリパリ、ボリボリ、その頭蓋骨に達する音と物理的な刺激、また無意識にちぎることのできないその形状や存在感、塩分の刺激、砕ける破片、せんべいの持つ様々な属性が複合的に人間の神経を刺激して、覚醒せしめる。

元来は駄菓子屋で売ったものだが、近年はやや格が上がった

北海道産はくちょう米と特選えりも小豆。厳選素材の絶妙なコンビネーション。