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蛇口から細かい泡混じりに吹き出す音と、流しの銀部が水道の勢いに打たれてたてるべこべこという音と、排水口に渦巻ってゆく音のみっつを聴きながら
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
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蛇口・水道(水)
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前後の文章を含んだ引用
......た。 緑子はしばらく巻子を見ていたが、何にも云わずに電子辞書を持って台所へ行き、引き出しにもどして、電気も点けんと暗い流しの前に立って、水を流してるようやった。蛇口から細かい泡混じりに吹き出す音と、流しの銀部が水道の勢いに打たれてたてるべこべこという音と、排水口に渦巻ってゆく音のみっつを聴きながら、わたしは、緑子と巻子が二人で父親についてどういった話をしてきて、どういったあんばいになってるのかというのをこれまで聞いてこなかったし、わたしが同居してるときも......
単語の意味
渦巻く(うずまく)
渦巻く・・・1.水や煙がグルグルと回って渦になる。ある感情が心の中に渦のようにグルグルと存在する。
2.気持ちや考えが次から次へと起こって、ごちゃごちゃになる。
2.気持ちや考えが次から次へと起こって、ごちゃごちゃになる。
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蛇口は人差し指くらいの細さしかない。その先端はなにかを排泄しようとしてそのまま止まってしまったかのようにふたつ段々がついている。その先から透明なものが、緩やかに、緩やかに現れる。まわりの景色がその表面に映っている。洗面台が、白い壁が、麻理子の顔が、その中に閉じ込められている。それは見つめているとどんどん膨らんでゆく。そして品がないくらいまで大きくなると、一瞬涙の形を浮かべ、そしてぴたんと落ちる。
また一滴垂れる。その瞬間には次の粒が蛇口から顔を出し始める。まったく同じことを繰り返してゆく。徐々に大きくなってゆき、その表面を震わせ、線香花火の玉のようにぴたん落ちる。次が蛇口から現れる。わずかに付着していただけのちっぽけな水は、やがて仲間を吸収し、ぷくりと垂れ下がり、蛇口の先端から離れて離れてとうとう千切れる。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
蛇口から注いだばかりの薬臭い水
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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ネオンが巨大な宝石のよう
深沢七郎 / 東京のプリンスたち amazon
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