（栗の形について）どれもこれも小鳥のように生意気に嘴を尖らし、どれもこれも小肥りに肥って、はち切れそうに背を円くしている。

火に焙って食べるとほくほくしてうまい

熱い熱い焼き栗　大好き 愛しあっている私たちに冬はない

渋皮煮を口に含むととろけるような舌触りでほどよい甘みが広がる

味も香りも素晴らしく、ねっとりとしたよい歯触りの栗

二人（ふたり）の幸福はどこに絶頂があるのかわからなかった。二人だけで世界は完全だった。

若い頃は、愛することとその相手の思想との関係なんて、考えもしませんでした。愛を過大評価していたのか、思想を過小評価していた

熱い熱い焼き栗　大好き 愛しあっている私たちに冬はない

（恋は盲目）恋に目がふさがっても

火に焙って食べるとほくほくしてうまい

アーモンドのような香りとピーナッツのような強い甘み

堅く締まった豆を、カリッと嚙み砕く快感

茶碗蒸しの銀杏は微かに苦く、淡白な味は地味ながら、他の具の味を引き立ててくれる

ごま豆腐はごまを使った料理の中では秀逸極まるものだ。この洗練された味を凌駕するとなると難しい。

結婚することによって私は、自分という玉を隅っこからまた、ちゃんと転がる軌道へと戻したいのでしょう。結婚をすれば人間としてのまっとうな人生の軌道に乗れる、婚姻、妊娠、出産と、こなしていく行事が次々とできて、その点をつなぎ合わせれば人生の見通しもつくし、忙しくて余計なことも考えなくて済む。

（口説く）ぎらつく

思春期のような恋心

（失恋前の二股期間）千晶と恋におちながらも、野呂が平然とわたしとのつきあいを続けていた時期がある。それはわずか二か月ほどの間のことにすぎなかったが、わたしにはそれが一年にも二年にも感じられた。 　本当に苦しかったのは、野呂から改まって別れ話を切り出された時ではない。野呂から愛の 残滓 のようなものを受け取っては、それを虚しく貪ろうとしていた、あの宙吊りの二か月間だったと思う。

その恋愛は、私との愛情がまだ終りをつげないうちにほろんで亡くなってしまいました。