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鼓の音は一度絶えて又起った。その静かな美しい音をきいているうちに私の胸が次第に高く波打って来た。  陰気に……陰気に……淋しく、……淋しく……極度まで打ち込まれて行った鼓のがいつとなく陽気な嬉し気な響を帯びて来たからである。それは地獄の底深く一切を怨んで沈んで行った魂が、有り難いみ仏の手で成仏して、次第次第にこの世に浮かみ上って来るような感じであった。  みるみる鼓の音に明る味がついて来てやがて全く普通の鼓のになった。しかも日本晴れに晴れ渡った青空のように澄み切った音にかわってしまった。
夢野久作 / あやかしの鼓 ページ位置:95% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......けずにいる。兄が老先生に送ったのだ。イヤあとから小包で私へ宛てて送り出したのを、老先生が受け取られたのかな……飛んでもない事をした」  と思いつつ私は耳を傾けた。  鼓の音は一度絶えて又起った。その静かな美しい音をきいているうちに私の胸が次第に高く波打って来た。  陰気に……陰気に……淋しく、……淋しく……極度まで打ち込まれて行った鼓のがいつとなく陽気な嬉し気な響を帯びて来たからである。それは地獄の底深く一切を怨んで沈んで行った魂が、有り難いみ仏の手で成仏して、次第次第にこの世に浮かみ上って来るような感じであった。  みるみる鼓の音に明る味がついて来てやがて全く普通の鼓のになった。しかも日本晴れに晴れ渡った青空のように澄み切った音にかわってしまった。 「イヤア…………ハア…………ハアッ……○○ポポ」  それは名曲『おきな』の鼓の手であった。 「とう――とうたらりたらりらア――。ところ千代ちよまでおわしませエ――。......
単語の意味
陰気(いんき)
日本晴れ(にほんばれ・にっぽんばれ)
陽気(ようき)
青空(あおぞら)
晴れ渡る(はれわたる)
胸(むね)
陰気・・・気分や天気などが、スッキリしない。明るくなく、ドンヨリしている。⇔陽気。
日本晴れ・・・1.一点の雲もなく晴れわたった空。最高にいい天気。
2.心配事などがなく、気持ちがすっきりしていること。不安や疑いなどが、すっかりなくなること。
室町時代、「日本一」という言葉が最上級のほめ言葉として流行し、そのころから「最高によい天気」という意味で使われるようになったといわれる。
陽気・・・1.天候。時候。
2.万物が動き、生まれ出ようとする気。陽の気。
青空・・・1.青く晴れた空。雲のない青い空。青く澄んで見える空。碧空。蒼天。
2.他の語に付いて「戸外で行う」「屋外」「露天」の意味を表す。
晴れ渡る・・・空一面がくまなく晴れる。空がすっかり晴れる。晴れ上がる。
・・・1.体の前面で、首と腹との間の部分。また、その内側にある心臓や肺臓、胃などの内臓。
2.(胸に宿るとされている、)心。想い。心中。
3.乳房(ちぶさ)。おっぱい。
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