横腹に思いッ切り打ち当る波の音や、絶えずならしている不吉な警笛が、風の工合で遠くなったり、すぐ頭の上に近くなったり、鉄の扉 を隔てて聞えていた。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:19% 作品を確認(青空文庫)
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嵐の中の船
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前後の文章を含んだ引用
......けられたように眼で追いながら、思わず肩と顎根 に力をこめて、じいとしていた。 船の動揺の度に、腫物 のように壁に取付けてある電燈が、明るくなったり暗くなったりした。横腹に思いッ切り打ち当る波の音や、絶えずならしている不吉な警笛が、風の工合で遠くなったり、すぐ頭の上に近くなったり、鉄の扉 を隔てて聞えていた。 ジイ――、ジイ――イと、長く尾を引いて、スパアクルが散った。と、そこで、ピタリと音がとまってしまった。それが、その瞬間、皆の胸へドキリときた。係は周章 てて、......
単語の意味
隔てる(へだてる)
横腹(よこばら)
鉄(てつ・くろがね)
隔てる・・・間に何か置く。間に何か置いて交流や行き来できないようにする。時間的、空間的に間をあける。
横腹・・・1.腹の横側。腹の側面。脇腹(わきばら)。横っ腹。
2.物の左右の側面。
2.物の左右の側面。
鉄・・・1.金属元素のひとつ。元素記号Fe、原子番号26。銀色の金属。湿った空気中では錆(さび)を生じやすい。錆(さ)びると褐色になる。安価で加工しやすく最も利用価値の高い金属。
2.堅くて強いことのたとえ。「鉄の意志」
2.堅くて強いことのたとえ。「鉄の意志」
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嵐の中の船の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
波の背 に乗って四十五度くらいの角度に船首を下に向けながら、帆をいっぱいに開いて、矢よりも早く走って行く一艘 の船!
有島武郎 / 生まれいずる悩み
「大暴風雨」のために、一たまりもなく操縦の自由をなくしてしまった。
小林多喜二 / 蟹工船
ドドドウと舷 を打つ重い濤音とともに、ギギギと船全体を軋ませ、ぐうっと右にロールした。
宮本百合子 / 伸子
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「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
波の音や砂や、はるかな海や、中空にすっと光る雲。自分さえ白く光って空気に溶けていきそうに思えるこういう浜辺
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
「鬼の洗濯板」と呼ばれる 細波 のような起伏の磯
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
海は一般的な常識を超越するほど、いろいろなものを内包している
景山 民夫 / 遠い海から来たCOO amazon
「乗り物」カテゴリからランダム5
キイをさしこんでまわしてみると、エンジンはすぐに気持の良い音を立てた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
交差点でトラックが無茶な右折をやり、砂埃がもうもうと舞い上がった
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
汽笛は、---花野のひとひを笛のような音を立てて逃れてゆく秋嵐のように思われた
三島由紀夫 / 花ざかりの森 amazon
「天災・荒れた天気」カテゴリからランダム5
白い猫がいっぱいかけまわっているみたいに、海一面が白く波立つ
松谷 みよ子 / オバケちゃん amazon
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