空には、月が顔を出していた。 どこかで、よよと、泣いている女の声を、上から傷ましがっているように。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 ページ位置:100% 作品を確認(青空文庫)
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月
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前後の文章を含んだ引用
......は、この辺がよろしいのう。今は、満目の雪でござるが、春ともなれば、紫雲英 、菜の花、里の子供の遊び場にもようござる」 と、いった。 「え?」 と、怪しんで問い返すと、月杖は、まだ今夜の運座の句作が頭にあったのか、少し顔を上げて、
遊ばばや子とも鬼とも紫雲英草
と呟いた。 吹雪は、まだ、二人の姿を消してしまうほど荒れていたが、空には、月が顔を出していた。 どこかで、よよと、泣いている女の声を、上から傷ましがっているように。ここに意味を表示
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大きい月のまわりに更に大きい暈 がかかって、
宮本百合子 / 伸子
月が青い氷のなかの刃のように澄み出る
川端 康成 / 雪国 amazon
どこまでも寡黙に、頑なな石の心をもって天空のその場所に腰を据えていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
窓の外に目をやると、月が見えた。ふやけた黄色をしている。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
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吉川英治 / 銀河まつり
どんよりと曇っていた空に、大きな指を拡げたような黒雲がゆっくりと流れてくる
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
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