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(夜番の)撃柝の音は坂や邸の多い堯の家のあたりを、微妙に変わってゆく反響の工合で、それが通ってゆく先ざきを髣髴 させた。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:24% 作品を確認(青空文庫)
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就寝前に聞こえる音
こだま・やまびこ・反響する
拍子木
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前後の文章を含んだ引用
......に用意されている。そこではもう転輾 することさえ許されないのだ。 夜が更けて夜番の撃柝 の音がきこえ出すと、堯は陰鬱な心の底で呟 いた。 「おやすみなさい、お母さん」 撃柝の音は坂や邸の多い堯の家のあたりを、微妙に変わってゆく反響の工合で、それが通ってゆく先ざきを髣髴 させた。肺の軋 む音だと思っていた杳 かな犬の遠吠 え。――堯には夜番が見える。母の寝姿が見える。もっともっと陰鬱な心の底で彼はまた呟 く。 「おやすみなさい、お母さん」 堯 は......
単語の意味
髣髴・彷彿(ほうふつ)
髣髴・彷彿・・・1.ありありとイメージすること。あるものを見て、似ている別のものを思い起こすこと。また、そのさま。
2.姿や形がぼんやりと見えること。また、そのさま。
2.姿や形がぼんやりと見えること。また、そのさま。
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目を閉じるといろいろな音が聞こえてきた。博士のいびき、毛布の衣擦れ、氷の溶ける気配、ルートの寝言、ソファーの軋み。二人の発する音たちは、発熱のアクシデントを忘れさせ、私を安堵させ、眠りに導いてくれた。
夜、寝てしまうのがおしくて、暗い部屋の中でじっと眼を開けていると、溝 の処だろう虫が鳴いている。
林芙美子 / 新版 放浪記
聴くまいとするのに耳が起きている。時計が兵隊の行進のようだ。
幸田文 / 流れる amazon
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こだま・やまびこ・反響するの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
「君の、名前は?」 その声は、こだまとなって夜の山に響く。虚空に繰り返し問いかけながら、すこしずつ小さくなっていく。 やがて、無音が降りてくる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
どこからか材木を叩く音が――もともと高くもない音らしかったが、町の空へ「カーン、カーン」と反響した。
梶井基次郎 / 城のある町にて
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直子はちょうど女学生が崇拝する教師の話でも聴くような様子で熱心に耳を傾けていた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
夜に入っても続く修復作業の鉄の音、工事の人の声が遠い祭のように聞えていた。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
「睡眠・眠る・寝る」カテゴリからランダム5
なま乾きのセメントのような頭で何度かそんなことを考えました。
阿刀田 高 / 縄 ──編集者への手紙──「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
梶井基次郎 / 冬の蠅
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僕はズボンのポケットからショート・ホープの箱をとりだし、それを娘にさしだした。彼女はショート・パンツのポケットから手を出して煙草を一本抜きとり、しばらく珍しそうに眺めてから口にくわえた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
氷の針のように冷たく小指を刺し貫いた蝋の一雫(ひとしずく)
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
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