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自分は自分の自由を享楽していることであろう。伸子には、夫をつれて来て、この悦びや鮮やかな自然の印象を分ちたい気持が起らなかった。彼女の気持は逆であった。彼女は、この山々を、この矮樹林を、自分だけで眺められるからこそ、嬉しいのであった。傍から誰にも妨げられず、心全面で眺め、味い、感覚する、この快さこそ、実に彼女に、久しく失っていた自由の蘇生を感じさせるものなのであった。
※備考※ 一人旅で息苦しい夫婦生活からの解放
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:49% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
爽快・すっきり・清々しい気分
自由に・心置きなく・好き勝手
心変わり・熱が冷める
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前後の文章を含んだ引用
......し彼の山々は―― ――彼の山々は―― 伸子は、自分の亢奮に驚いた。自分はこのように野原や山々へのノスタルジアにかかっていたのだろうか? そして、また何と貪慾に、自分は自分の自由を享楽していることであろう。伸子には、夫をつれて来て、この悦びや鮮やかな自然の印象を分ちたい気持が起らなかった。彼女の気持は逆であった。彼女は、この山々を、この矮樹林を、自分だけで眺められるからこそ、嬉しいのであった。傍から誰にも妨げられず、心全面で眺め、味い、感覚する、この快さこそ、実に彼女に、久しく失っていた自由の蘇生を感じさせるものなのであった。 家じゅうに鏡はたった一つあるきりであった。水銀に罅 の入った古い掛鏡が、流しの横の柱に懸っていた。田舎へ来てから、伸子は毎朝顔を洗う時、気をつけてその鏡を覗い......
単語の意味
享楽(きょうらく)
享楽・・・思う存分快楽を味わうこと。快楽に没頭すること。
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ロウソクを全部吹き消したみたいに気持ちがすっきりとした
朝井 リョウ / ひーちゃんは線香花火「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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身体の中に飼っている鳩が自由な羽ばたきをあげて飛び立つ思い
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
籠 を出た小鳥のような自由さで(一人で出かける)
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
広い空間に解き放たれるような自由な気持
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
しょっちゅう薄ら寒い風に吹かれているような、惨めなうっとうしい自由
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
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何でも自由に望みのものが生れそうな力を孕 んだ楽しい気分が充ちて来た。
岡本かの子 / 金魚撩乱
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何もかもを押し広げてゆく、強い運命の笑顔。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
竹杖は忽ち竜のように、勢 よく大空へ舞い上って
芥川龍之介 / 杜子春
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死んだ者同様に意識なく
有島武郎 / 或る女
(気をつけ)全身の力を四角な 顎 にあつめて胸元に引きよせ直立しようとする
野間 宏「真空地帯(新潮文庫)」に収録 amazon
苦い清涼剤でも飲んだように胸のつかえを透 かしていた。
有島武郎 / 或る女
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(回想シーンへ)両目を閉じた。目を閉じると、そこには奥行きのある、薄暗いスペースがあった。とても深い奥行きだ。地球の中心まで延びているみたいに見える。その空間には薄暮を思わせる暗示的な光が差し込んでいた。長い長い一日の末に訪れた、心優しく懐かしい薄暮だ。細かい切片のようなものが数多く、その光の中に浮かんでいるのが見えた。ほこりかもしれない。花粉かもしれない。あるいはほかの何かかもしれない。それからやがて、その奥行きが徐々に縮んでいった。光が明るくなり、まわりにあるものがだんだん見えるようになってきた。 気がつくと彼は十歳で、小学校の教室にいた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
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そばにいたい。 脳を通していない命令に従いそうになった心を、愛子はどうにか抑え込んだ。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
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