（凍った波）岸に近く、寄せた波がそのまま弓なりに凍っていた。

（波が船の）窓のところへドッと打ち当り、砕けて、ザアー……と泡立つ。そして、そのまま後へ、後へ、窓をすべって、パノラマのように流れてゆく。

柄杓（ひしゃく）が水を掬（すく）うように、デッキは波浪を掬い込んだ。

冷たい波は、船の両舷の下に逆毛のように白く砕けて

風が海を叩いて、波音が高い。

裸足で浜辺を歩くと、熱く吸いつくようだ

海の上はただ狂い暴（あ）れる風と雪と波ばかりだ。縦横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡（あわ）の山に変じて、その巓（いただき）が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。

朝の海だけが 綺麗 でした。海は幾つかの小さな島をその沖あいに点在させて、うす陽をうけて針のように光り、浜を嚙む波が白く泡だっていました。

入り江の細波が岩浜の縁を洗う音

船は波の動揺のまにまに勝手放題に荒れ狂った。