長い鉄の火箸（ひばし）に火の起こった炭をはさんで高くあげると、それが風を食って盛んに火の子を飛ばす

電車が架線に青い火花を立てる

七輪から 弾け散る炭の火花が、無数の螢となって竜夫の前で飛んでいた。

鋭い火花を放つ

この夜空のところどころにときどき大地の底から発せられるような奇矯（ききょう）な質を帯びた閃光（せんこう）がひらめいて、琴（こと）のかえ手のように幽毅（ゆうき）に、世の果ての審判（しんぱん）のように深刻に、夜景全局を刹那に地獄相（じごくそう）に変貌（へんぼう）せしめまた刹那にもとの歓楽相に戻（もど）す。それは何でもない。間近い城東電車のポールが電力線にスパークする光

薄暗い電気の下に、煙草の煙が雲のようにこめていた。

屋台骨が火の中へ、紙細工のようにヒラヒラと呑まれて消える

室内には煙が充満していて、四本の煙草の先や灰皿から白い煙が上り、天井のあたりにとどまってはやがて見えなくなる。

焼け残りの庭木が五本か六本、半焦げで、掌みたいな変な具合に葉を茂らせてゐる。

霧が降りたように薄い煙が立てこめている