何処かのパイプからスティムがもれているらしく、シー、シ――ン、シ――ンという鉄瓶 のたぎるような、柔かい音が絶えずしていた。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:50% 作品を確認(青空文庫)
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蒸気機関
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前後の文章を含んだ引用
......、皆だまった。 「こ、こ、殺される前に、こっちから殺してやるんだ」どもりがブッきら棒に投げつけた。 トブーン、ドブーンとゆるく腹 に波が当っている。上甲板の方で、何処かのパイプからスティムがもれているらしく、シー、シ――ン、シ――ンという鉄瓶 のたぎるような、柔かい音が絶えずしていた。 寝る前に、漁夫達は垢 でスルメのようにガバガバになったメリヤスやネルのシャツを脱いで、ストーヴの上に広げた。囲んでいるもの達が、炬燵 のように各その端をもって......
単語の意味
鉄瓶(てつびん)
鉄瓶・・・お湯を沸かすための鉄製の容器。風情のあるやかんのようなもの。
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一種生臭 いような暖かい蒸気
有島武郎 / 或る女
ポポン、ポポンとポンポン蒸気の安らかな響き
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
蒸気をシュッシュッと吐いて
林芙美子 / 新版 放浪記
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二人のまわりを夜の街が、夜光虫に彩られた海流のように流れ過ぎていった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
どこに円盤があるってんだよー、と笑いまじりに私が言いかけたとき、眼前の暗い町並みとネオンのがたがたした切り絵と空の区切りのラインから、ちょうど目線のあたり、夜空を切りわけるようにツーっと、左から右、光る飛行機雲のようなものが横切った。 はっとした。 それは私たちの目の前の景色の真ん中あたりで、地上のどのようなマシーンよりも優雅な止まり方でぴたり、と止まって、 ぴかーっと輝いて、消えた。 私が今までに見たどの光よりも 凄烈 だった。想像して言うなら、苦しみのうちに胎道を通りぬけて、初めてこの世に生まれ出る瞬間のまぶしさのようだった。それくらい美しく、清らかで、くりかえせない発光だった。いつまでも見ていたかった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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