ちょうど頭の上に十八九日ごろの月が、紙片(かみきれ)でも懸けたように不愛相に照っていた。
相馬 泰三 / 六月 作品を確認(amazon)
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月
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月の輝きを無心に眺めているうちに、天吾の中に古代から受け継がれてきた記憶のようなものが呼び起こされていった。人類が火や道具や言語を手に入れる前から、月は変わることなく人々の味方だった。それは天与の灯火として暗黒の世界をときに明るく照らし、人々の恐怖を和らげてくれた。その満ち欠けは時間の観念を人々に与えてくれた。月のそのような無償の慈悲に対する感謝の念は、おおかたの場所から闇が放逐されてしまった現在でも、人類の遺伝子の中に強く刷り込まれているようだった。集合的な温かい記憶として。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
月が金色の油をといたように光る
林 芙美子 / 林芙美子文庫〈〔第9〕〉松葉牡丹 amazon
月の全体の形も頭蓋骨に似ている。白銀の頭蓋骨だ。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
さらに幾夜かがあった。中隊を出る時三日月であった月は、次第に大きさと光を増して行った。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
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日が暮れて間もない闇の奥から、きらきらする見慣れない星たちが、後ろに長い光の尾を引いてこっちに迫ってくるよう
内田百閒 / 凸凹道(箒星) amazon
髪束のように高い積雲が立ち
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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