ああ、オレの女、サユリ！　さめざめ、さめざめ、さめざめ。コバヤシのようすは、まるで梅雨時の小雨のように湿気に満ち溢れていた。

女を紙屑のように捨てる

わたしという女を色褪せて飽きてしまった玩具のように、そっとおもちゃ箱の奥に押しこんで、蓋を閉めようとしていたのだろう。

秋になりました。私の唇も冷たく凍ってゆきます。あなたとお別れしてから……。

翌週、僕らは別れた。電話で五分だけ話して別れた。まるで役所の手続きのように、事務的な会話だけで僕らは終わった。僕と彼女は千時間以上、電話で話してきた。千時間の電話で積み上げてきた関係を、僕らはたった五分の電話で終わらせてしまった。 　僕らは、電話ができることで、すぐつながる便利さを手に入れたが、それと引き換えに相手のことを考えたり想像したりする時間を失っていった。電話が僕らから、想いをためる時間を奪い、蒸発させていったのだ。

帰りに何となく別れ難くて軽く 会釈 をした。また会いたいな、と心から思った。

手に入れてすらいないうちに彼を失いつつある。告白してふられたとか彼に彼女ができたとか彼に幻滅したわけでもない、ただ、恋が死んだ。ライフワーク化していた永遠に続きそうな片思いに賞味期限がきた。

過激なほどに動く。身体そのものよりも、視線を楽しませるために右に左に腰をひねる。

秋になりました。私の唇も冷たく凍ってゆきます。あなたとお別れしてから……。

卑猥な話