手に入れてすらいないうちに彼を失いつつある。告白してふられたとか彼に彼女ができたとか彼に幻滅したわけでもない、ただ、恋が死んだ。ライフワーク化していた永遠に続きそうな片思いに賞味期限がきた。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
失恋・恋人と別れる
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......他人にも自分にも。 でも私はイチがよかった。ニなんていらない、イチが欲しかった。 私のお星さまは、イチ。最後まで食べずに残しておいたお皿のうえのイチゴ。でもいま手に入れてすらいないうちに彼を失いつつある。告白してふられたとか彼に彼女ができたとか彼に幻滅したわけでもない、ただ、恋が死んだ。ライフワーク化していた永遠に続きそうな片思いに賞味期限がきた。 両隣のトイレの個室は女性社員が入っては出て行き回転率が高い。鏡のまえで化粧を直す彼女たちの話し声を聞きながら、私はふたをしめた便器のうえに座り頭を抱えていた。......
単語の意味
永遠(えいえん・とわ)
永遠・・・ある状態が果てしなく続くこと。物事が変化しないこと。無窮(むきゅう)。永久(えいきゅう)。
ここに意味を表示
失恋・恋人と別れるの表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼は胸の詰まる思いで感傷に浸った。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「恋愛」カテゴリからランダム5
野呂は乾ききっていたわたしの口の中を甘い蜜のような水で潤し始めた。おかしな言い方かもしれないが、実際、それは、〝舐めとるような〟キスだった。乾いたもの……例えばビスケットのようなものを舐めて舐めて潤して、充分に濡らしてやわらかくしてから食べ尽くそうとするかのような……。 自分の口の中が、次第に彼の蜜で潤わされていくのを感じた。彼の唇のやわらかさ、なめらかさは信じられないほどだった。わたしは砂漠に降る雨を思った。砂が水を吸いこんでいく時の、あの幸福な静けさがわたしを包んだ。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
馬鹿馬鹿しかったり疲れて嫌になったりするはずのそんなじゃれ合いが、いくらでも出来た。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
恋愛 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ