梢に、どうしてのこったかたった一枚、真赤な楕円形の朽葉がひらひら動いていた。それが透明な二月の碧空の前に、ぽちりと滴った血のように美しく見える。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:17% 作品を確認(青空文庫)
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枯れ葉・葉が散る
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前後の文章を含んだ引用
......―さらにたっぷり一時間待たなければならない。―― 伸子は、ぶらぶら室内散策を始めた。前の空地に一本大きな冬枯れの樹木があった。箒を逆にして空に冲 らせたようなその梢に、どうしてのこったかたった一枚、真赤な楕円形の朽葉がひらひら動いていた。それが透明な二月の碧空の前に、ぽちりと滴った血のように美しく見える。 それを眺め、これを見しているうちに、伸子はふと自分が変に間の抜けた羽目に置かれているのに心づき出した。ミス・プラットはああやって勝手に彼女の稽古をしている。そ......
単語の意味
碧空(へきくう)
碧空・・・碧(あお[=青])い空。青空。晴れあがった美しい空。碧天(へきてん)。
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木々の葉が、一日ごと剥 がれてゆく
梶井基次郎 / 冬の日
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漆のような真黒な羽のひらひらする、繊(ほそ)く青い、たしか河原蜻蛉(かわらとんぼ)とも言った
泉 鏡花 / 縷紅新草 amazon
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