芋虫か何かのように、ベッドの上で動いている二人

射精のあとの気だるさが、彼の身体を薄い膜のように包んでいた。

稚拙な動作で体を交えた。

今、彼女は快楽の琴線を剝き出しにされ、堪能している。シンイチにはそれが解った。何故なら、快楽を訴える言葉は時折、英語に変ったから。たぶん、こちらが彼女の本来の快楽の言語なのだ。

僕は今君と性交している。僕は君の中に入っている。でもこれは本当に何でもないことなんだよ。どちらでもいいことなんだ。だってこれは体のまじわりにすぎないんだ。我々はお互いの不完全な体を触れあわせることでしか語ることのできないことを語りあっているだけなんだ。こうすることで僕らはそれぞれの不完全さをわかちあっているんだよ

胸がキューンと切ない思いに締め付けられる

人から愛されるということは、生ぬるい日向水（ひなたみず）に浸っているようなもの

わたしはあなたの顔立ちと表情の動きが気に入ったの。とても」 　まわりの空気が急にすっと薄くなったような気がした。ふたつの乳首が着衣の下で硬くこわばるのがわかった。すみれは手をのばして半ば機械的に水のグラスをとり、残っていた水をひと息で飲んだ。猛禽類のような顔つきをしたウェイターがすかさず背後にやってきて、空になった大きなグラスに氷水をついだ。そのからからという音がすみれの混乱した頭の中で、洞窟に閉じこめられた盗賊のうめき声みたいにうつろに反響した。

静寂はサユリの小さな呻き声によって壊された。それは、彼女のものとは思われないほど、か細い声だった。声は断続的にふわふわと現れ空中を舞った。

三葉が笑うと──今になって、俺は気づく。世界までが、一緒になって喜んでるみたいだ。