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葉子は、男というものなしには一刻も過ごされないものとなっていた。砒石 の用法を謬 った患者が、その毒の恐ろしさを知りぬきながら、その力を借りなければ生きて行けないように、葉子は生の喜びの源を、まかり違えば、生そのものを虫ばむべき男というものに、求めずにはいられないディレンマに陥ってしまったのだ。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:67% 作品を確認(青空文庫)
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やめられない・中毒
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......望して木部と別れてしまったのだ。 葉子のなめたすべての経験は、男に束縛を受ける危険を思わせるものばかりだった。しかしなんという自然のいたずらだろう。それとともに葉子は、男というものなしには一刻も過ごされないものとなっていた。砒石 の用法を謬 った患者が、その毒の恐ろしさを知りぬきながら、その力を借りなければ生きて行けないように、葉子は生の喜びの源を、まかり違えば、生そのものを虫ばむべき男というものに、求めずにはいられないディレンマに陥ってしまったのだ。 肉欲の牙 を鳴らして集まって来る男たちに対して、(そういう男たちが集まって来るのはほんとうは葉子自身がふりまく香 いのためだとは気づいていて)葉子は冷笑しながら蜘 ......
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やめられない・中毒の表現・描写・類語(思考・頭の中の状態のカテゴリ)の一覧 ランダム5
サユリは、その夜、何度も、のたうちまわった。 「虫があ、虫があ。ああ! コカコーラをちょうだい!」 と、訳の解らないうわ言を叫び、ティエンを慌てさせた。まるでヘロインか何かと手を切ろうとする中毒患者である。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
(禁煙を始めて)それから一ヵ月ばかり、ふさふさした尻尾を切り取られた動物みたいに、彼女は精神のバランス(もともとそれは彼女を特徴づける資質とは言いがたいのだが)を失っていた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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七彩(なないろ)に変わる石鹼玉(しゃぼんだま)の色のように、倏忽(しゅくこつ)に気持ちが変わる
梶井 基次郎 / 檸檬・冬の日―他九篇 (岩波文庫 amazon
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