少女らしい無邪気な桃色をしていた頬の色が、何となく淋 しい薔薇 色に移り変って行くだけであったが、それだけの事でありながら、たった今まで十七八に見えていた、あどけない寝顔が、いつの間にか二十二三の令夫人かと思われる、気品の高い表情に変って来た。
夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:8% 作品を確認(青空文庫)
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頬の赤み・色
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前後の文章を含んだ引用
......しみの表情にかわって行くのであった。しかも、その細長い眉や、濃い睫毛や、クローバ型の小さな唇の輪廓 のすべては、初めの通りの美しい位置に静止したままであった。ただ、少女らしい無邪気な桃色をしていた頬の色が、何となく淋 しい薔薇 色に移り変って行くだけであったが、それだけの事でありながら、たった今まで十七八に見えていた、あどけない寝顔が、いつの間にか二十二三の令夫人かと思われる、気品の高い表情に変って来た。そうして、その底から、どことなく透きとおって見えて来る悲しみの色の神々 しいこと……。 私は又も、自分の眼を疑いはじめた。けれども、眼をこすることは愚か、呼吸 も......
単語の意味
無邪気(むじゃき)
気品(きひん)
寝顔(ねがお)
頬(ほお・ほほ)
無邪気・・・素直で悪気がなくかわいらしいさま。偽りやたくらみがなく心が綺麗なさま。
気品・・・庶民とは違ったワンランク上の上品な雰囲気。
寝顔・・・寝ているときの顔つき。眠っているときの表情。
頬・・・顔の一部。顔の両脇で、口の真横にあるやわらかい部分。ほっぺ。ほっぺた。
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頬ぺたが苺のように赤かった。
木山 捷平 / 初恋「落葉・回転窓 木山捷平純情小説選 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
頬が桜貝のように淋しく淡く紅さしてゆく
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
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やわらかい 生毛 のはえた円い頬
野間 宏「真空地帯(新潮文庫)」に収録 amazon
頬に漂い残した女盛りの潤いのある光沢
久米 正雄 / 学生時代 amazon
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