その松の木の下で じっと空を見ていた私です。 真蒼い空に老松の葉が 針のように光っていました

石段の石の色が、こまかく灰が降ったように見えるのは、木かげを洩れる弱日（よろび）の色だ。

あたりには物音ひとつなく、草の葉が日の光を浴びて呼吸する音までが聞こえてきそうだった。

大きな木々が道に心地良さそうな影を作る

木漏れ日が目の前でさっと揺れだす

てらてらと太陽から溶け出てきたような陽射しが、黒鉛と汗で汚れたキャンバスを橙色に染めている。

文化の燎原（りょうげん）に立ち昇（のぼ）る晩夏の陽炎（かげろう）

昼すぎに雪はやんだ。降りはじめた時と同じような唐突なやみ方だった。ぶ厚い雲が粘土のようにところどころでちぎれ、そこから差し込む陽光が壮大な光の柱となって草原のあちこちを移動した。素晴しい眺めだった。

身体の中までも射通すかと思うような明るい乾いた午後の日光は、気の付かぬうちにおのずと暮れ行き、時にはまるで燈（ともしび）の光のように黄色く見える事さえある。

洗い立ての顔のような街