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彼女は自在に頭の中をからっぽにできる。目は公園を怠りなく監視している。とくに滑り台の上を。しかし何も考えていない。いや、おそらく意識は何かを思っているのだろう。しかしそれはおおむねいつも水面下に収められている。その水面下で自分の意識が何をしているのか、彼女にはわからない。しかし意識は定期的に浮かび上がってくる。ウミガメやイルカが、時が来れば水面に顔を出して呼吸をしなくてはならないのと同じだ。そういうときに彼女は、自分がそれまで何かを考えていたことを知る。やがて意識は肺を新鮮な酸素で満たし、再び水面下に沈み込んでいく。その姿は見えなくなる。そして青豆(人名)はもう何も考えてはいない。彼女は柔らかな繭に包まれた監視装置となり、滑り台に無心の視線を送っている。彼女は公園を見ている。しかし同時に何も見ていない。何か新しいものごとが視野に入れば、彼女の意識は即座にそれに対応するはずだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 作品を確認(amazon)
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頭を空にする・考えない
監視・見張る
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単語の意味
無心(むしん)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
視線(しせん)
海豚(いるか)
無心・・・1.無邪気なさま。雑念や欲望にまったくとらわれてないさま。
2.正当な理由も無く、人に金品をねだること。
2.正当な理由も無く、人に金品をねだること。
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
海豚・・・歯クジラ類のうちの小形種の総称。体長1~5メ-トル。両顎に歯があり、体形は紡錘(ぼうすい)状で頭部は長く延びる。背びれはふつう鎌形で大きい。意思疎通に音波を用いて群をなして遊泳。知能が高くて人に馴れやすい。しばしば船舶に平行して走る。
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考えちゃだめなんだ。極端な話、走るとか、泳ぐとか、そういうのでもいいくらいだ。今したいことにためらいなく足が動くように調整しとかないと、頭の筋肉が熱を持って、オーバーヒートしちゃう。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
(悟りを開く)煩悩を解脱してシミひとつない白紙の脳裏
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
海を眺めているときと同じ作用が脳細胞に普及する
島尾 敏雄 / 島尾敏雄 amazon
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意識を集中し、公園の監視を続ける。高いマストに一人で上り、広大な海原に魚群やら潜望鏡の不吉な影やらを求める見張りの船員のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
犬のようなとげとげしい眼を光らせていた。
中野 重治 / 歌のわかれ (1956年) amazon
波の上を旋回する鳥のように眼を光らせて
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
役人は格子窓から顔を離すと、病人の経過をじっと観察している医師のように満足そうなうす笑いを浮べた。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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遠い昔の記憶のように朧げにしかわからない
芥川 竜之介 / 袈裟と盛遠 amazon
石のような無知な僧侶
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
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細かなところまで虫眼鏡で観察するように見る
谷村 志穂 / ハウス amazon
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