「プルースト(の「失われた時を求めて」)は読んでいるか?」《…略…》「別の世界というか――私の生きているこの世界から何光年も離れたある小惑星についての、詳細な報告書を読んでいるような感じがするのよ。そこに描かれた情景のひとつひとつを受け入れ、理解することはできる。それもずいぶん鮮やかに克明に。しかしここにある情景とその情景とがうまく結びつけられない。物理的にあまりにも遠く離れているから。だからしばらく読み進むと、前に戻ってまた同じところを読み返すことになる《…略…》なんだか他人の夢を見ているみたいな気がする。感覚の同時的な共有はある。でも同時であるというのがどういうことなのかが把握できないの。感覚はとても近くにあるのに、実際の距離はひどく離れている」
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 作品を確認(amazon)
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単語の意味
情景・状景(じょうけい)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
情景・状景・・・人の心を動かす風景や場面。
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
2.ちょっと待った!
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小説の表現・描写・類語(道具・家具のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ものを書いて暮す
林芙美子 / 新版 放浪記
ニセ物(作り話)が本物より人の心を魅きつけるっていうのが小説の世界なんだ。
林 真理子 / エンジェルのペン「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
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「道具・家具」カテゴリからランダム5
(アーク燈の光が部屋の中を)青く明るく照して、二つの寝床がその中に小舟の浮んでいるように見えた。
加能 作次郎 / 世の中へ amazon
(小説を書く)目を閉じ、深呼吸をし、頭の中に適切な言葉を並べた。言葉の順序を入れ替え、イメージをより明確なものにした。リズムをより的確なものにした。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
光代はダッシュボードに置かれた道路地図を手に取った。適当なページを捲ると、全面に色とりどりの道が記載されている。オレンジ色の国道、緑色の県道、青い地方道路に、白い路地。まるでここに書かれた無数の道路が、自分と祐一が乗るこの車をがんじがらめにしている網のように思えた。仕事をさぼって好きな人とドライブしているだけなのに、逃げても逃げても道は追いかけてくる。走っても走っても道はどこかへ繋がっている。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
裸体像で、周囲が白紙になっているために空間に浮いているように見える。
夢野久作 / ドグラ・マグラ
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