枯菊の上に背（せ）を山にして欠伸（あくび）をしている。

体を投げ出すように横たえる

熟睡でもしているように動かない

姉のとん子は、姉の権利はこんなものだと云わぬばかりにうんと右の手を延ばして妹の耳の上へのせている。妹のすん子はその復讐（ふくしゅう）に姉の腹の上に片足をあげて踏反（ふんぞ）り返っている。双方共寝た時の姿勢より九十度はたしかに廻転している。しかもこの不自然なる姿勢を維持しつつ両人とも不平も云わずおとなしく熟睡している。

彼女は自分の胸の上で両手を組み合わせる。

神棚の下に繁ばあちゃんがちんまり座っている。饅頭の亡霊みたいだ。

獣のようにうずくまっていました。

ぶら下げてきた一升徳利を机の上に置くと、四人（の学生）は山賊のように胡坐（あぐら）をかいていた。

にこりともしないその表情は、椅子の背にもたれかかった態度と相俟って、どこかこちらを見下しているように見える。

胎児のようにからだを丸めて

沈みこむように寝入った。

死のような眠りにつく

（海辺の家）闇 に激しく揺れる木立の音と波の音が重なり、まるで野外に寝ているみたいだ。 　ざー、ともごー、ともいえる、巨大な音だ。人をおびやかすほど。

いまに机に 俯うつぶ して眠ってしまう

心がそんなことにひっかかると私はいつも不眠を殃（わざわ）いされた。眠れなくなると私は軍艦の進水式を想い浮かべる。その次には小倉百人一首を一首宛思い出してはそれの意味を考える。そして最後には考え得られる限りの残虐な自殺の方法を空想し、その積み重ねによって眠りを誘おうとする。