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抜け上ったぎわから前髪が堤防工事のように高くそびえて、少なくとも顔の長さの二分の一だけ天に向ってせり出している。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:20% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......沈黙する。  主人のうちへ女客は稀有けうだなと見ていると、かの鋭どい声の所有主は縮緬ちりめんの二枚重ねを畳へり付けながら這入はいって来る。年は四十の上を少ししたくらいだろう。抜け上ったぎわから前髪が堤防工事のように高くそびえて、少なくとも顔の長さの二分の一だけ天に向ってせり出している。眼が切り通しの坂くらいな勾配こうばいで、直線に釣るし上げられて左右に対立する。直線とはくじらより細いという形容である。鼻だけは無暗に大きい。人の鼻を盗んで来て顔の真中へえ......
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前髪(まえがみ)
前髪・・・1.額の上部の頭髪。額の前の方に短く垂らした髪。
2.昔、女子または元服前の男子の、額の前に別に束ねた髪。向こう髪(むこうがみ)。
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