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葉子の幼い時からの癖である夢ともうつつとも知れない音楽的な錯覚に陥って行った。《…略…》夢遊病者のように葉子はまっしぐらにこの不思議な世界に落ちこんで行った。《…略…》葉子はつばめのようにその音楽的な夢幻界をけ上がりくぐりぬけてさまざまな事を考えていた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:52% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......が、なやましい気分を誘い出したりした。それにたたずんでいるのに足が爪先つまさきからだんだんに冷えて行って、やがてひざから下は知覚を失い始めたので、気分は妙にうわずって来て、葉子の幼い時からの癖である夢ともうつつとも知れない音楽的な錯覚に陥って行った。五体も心も不思議な熱を覚えながら、一種のリズムの中に揺り動かされるようになって行った。何を見るともなく凝然と見定めた目の前に、無数の星が船の動揺につれて光のまた《…略…》役目を勤めた。声が形となり、形が声となり、それから一緒にもつれ合う姿を葉子は目で聞いたり耳で見たりしていた。なんのために夜寒よさむを甲板に出て来たか葉子は忘れていた。夢遊病者のように葉子はまっしぐらにこの不思議な世界に落ちこんで行った。それでいて、葉子の心の一部分はいたましいほどめきっていた。葉子はつばめのようにその音楽的な夢幻界をけ上がりくぐりぬけてさまざまな事を考えていた。  屈辱、屈辱……屈辱――思索の壁は屈辱というちかちかと寒く光る色で、いちめんに塗りつぶされていた。その表面に田川夫人や事務長や田川博士の姿が目まぐるしく音律に乗......
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燕(つばめ・つばくら・つばくろ・つばくらめ)
夢幻(むげん)
・・・ツバメ科の鳥。背や翼は光沢ある青黒色で、顔と喉(のど)は栗色、腹は白色の渡り鳥。尾は長く、二つに割れている。日本には春にやってきて民家に巣を作る。秋に去る。作物や樹木の害虫を捕食する、代表的な益鳥(えきちょう)。
夢幻・・・夢(ゆめ)と幻(まぼろし)。実体がなく、儚(はかな)いことのたとえ。
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