日本人にとってライ麦パンはモソモソしていてあまり好まれないようだが、良質なバターを塗って食べるとじんわりとした旨味が舌に広がる

古いフランスパンはかじると歯茎が血だらけになるくらい硬い

ゾリゾリと聞こえるのはカリカリに焼いたパンの表面をバターナイフの先が直にこすった時の音。バターの塊が熱で急に他愛もなく溶けていき、パンの小さな凹みという凹みに染み込んでいく。濃厚なバターの味、パンに染み込んで一体となったパンとバターの味、そしてその下の、少し湿り気をおびたパンの味、最終的に口の中はバターの脂にまみれる。

ふっくり割れ目のついた蒸しパンが出来上がる

（フレンチトースト）フレンチトーストをつくってみるのもよいと思う。 牛乳と卵を吸ってふかふかになったパンが、黄金色に焼き上っていて、甘くてちょっとバタくさくておいしいものだ。甘党の人には蜜またはジャムをそえて出せばよろこばれる。 この場合は、むしろスープなどより、紅茶かミルクをそえて出す方がぴったりしている。

パンが焼ける 匂いはなぜだろう、恐ろしいほど幸福な感じがする。

カレーパンは木の葉型というか、紡錘形というか、あの形が一番いい

コロッケパンの特長は、コロッケの柔らかさがパンの柔らかさ同調しているところにある。コロッケパンの同類にハムカツサンドがあるが、ハムカツはパンと同調しない。噛んでいくと、ハムカツのところで歯の動きがいったん止まる。コロッケパンは、噛んでいくといつのまにか歯がコロッケを通過している。そして、口の中がいつのまにかパンとコロッケとソースが混じりあった味になる。混じりあった瞬間、なんだかとても楽しい気分になる。

（クロックムッシュ）すごくおいしそうに出来ていたが、これを一枚たべたら、ほかのものがあまり食べられなくなってしまいそうで、とうとう一度も食べなかった。

着物の柄が、鏡餅なのかうさぎなのかがこれではわからない