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(故郷を離れて)東京で規則正しく、もの静かに生活を送った。国を追われた亡命者が異郷で、周囲に波風を立てないように、面倒を起こさないように、滞在許可証を取り上げられないように、注意深く暮らすみたいに。彼はいわば自らの人生からの亡命者としてそこに生きていた。そして東京という大都市は、そのように匿名的に生きたいと望む人々にとっては理想的な居場所だった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 ページ位置:95% 作品を確認(amazon)
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ひっそりと、退屈な暮らし(日々)
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前後の文章を含んだ引用
......彼にとってたまたま与えられた場所だった。かつては学校のある場所だったし、今では職場のある場所だった。彼は職能的にそこに属していた。それ以上の意味はない。つくるは東京で規則正しく、もの静かに生活を送った。国を追われた亡命者が異郷で、周囲に波風を立てないように、面倒を起こさないように、滞在許可証を取り上げられないように、注意深く暮らすみたいに。彼はいわば自らの人生からの亡命者としてそこに生きていた。そして東京という大都市は、そのように匿名的に生きたいと望む人々にとっては理想的な居場所だった。 彼には親しい友だちと呼べる人間はいない。何人かのガールフレンドをつくり、やがて別れた。穏やかなつきあいで、円満な別れだった。彼の心の内側にまで入ってくる相手は......
単語の意味
望む(のぞむ)
望む・・・1.遠くを眺める。その方向に目を向けてみる。
2.希望する。そうあってほしいと強く心に思うこと。
2.希望する。そうあってほしいと強く心に思うこと。
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ひっそりと、退屈な暮らし(日々)の表現・描写・類語(退屈のカテゴリ)の一覧 ランダム5
外を吹き荒れる突風に首を縮こめ、決して巣から顔を出さない穴熊みたいに、注意深く日常をやりすごす
鷺沢 萠 / 大統領のクリスマス・ツリー amazon
ひっそりとして人の出入りも稀なほど静かな暮らし
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
(故郷を離れて)東京で規則正しく、もの静かに生活を送った。国を追われた亡命者が異郷で、周囲に波風を立てないように、面倒を起こさないように、滞在許可証を取り上げられないように、注意深く暮らすみたいに。彼はいわば自らの人生からの亡命者としてそこに生きていた。そして東京という大都市は、そのように匿名的に生きたいと望む人々にとっては理想的な居場所だった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
いつも夕暮れの中にいるようだ、寂寥たる日々
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
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もうずいぶんとバスに揺られていた気がするけれど、時計を見ると十五分と経っていない。
朝井 リョウ / ひーちゃんは線香花火「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
へいぜい自分の使っている茶碗 でしきりに茶を飲む折田を見ると、そのたび彼は心が話からそれる。
梶井基次郎 / 冬の日
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(温かい家庭)平凡でおだやかな日々をつづけていたはずだ。僕は美代子を愛していて、美代子も僕を愛していて、それはもちろん新婚時代のような熱く燃え上がるものではなくなっていても、だからこそ、熾火のように、いつまでも我が家の暮らしを温めてくれるのだと思い込んで、信じ込んでいた。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
(久しぶりに)一人になると、僕の回りの光の色や風の匂いまでが僅かに--しかし確実に--変化したように感じられた。《…略…》僕は急に何も考えられなくなってしまった。頭の中で急速に重力が変化してしまったような感じがした。僕の思考はその重力の変化に上手くついていくことができなかった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
部屋の隅に立てられた電球を持たないフロアスタンドのように生きる
高橋 三千綱 / 涙 amazon
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