病院の表現・描写・類語(店・施設のカテゴリ)の一覧 ランダム5
車椅子に座った子供達が黄色いボールを投げ合って中庭で遊んでいる。三人、みんな首がとても細い。捕球しそこなうと一人の看護婦がボールを拾う。一人よく見ると手首から先がツルンとして何もない子供がいて、彼は看護婦がそっと浮かせたボールを腕で打ってゲームに参加している。打ったボールは必ずよそへ逸れるが、子供は歯を見せて笑っていた。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
(夜の病院)まだ八時前だというのに外来受付の明かりが消されてしまった待合ホールは、薄暗い蛍光灯の中、古びたベンチが並んでいる。 昼間、ここで百人を超す人々が順番待ちをしていたとは思えないほど狭い。 人々の姿が消え、夜間の待合ホールに残されているのは、古びたベンチと、カラフルなペンキで床に示された各病棟への矢印だけだ。 ピンク色の矢印は産婦人科へ。黄色い矢印は小児科へ。そら色の矢印は脳外科へ。 薄暗い蛍光灯の下、カラフルな矢印だけが華やいで見える。カラフルな矢印だけが場違いに見える。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
海岸から道路をひとつ隔てた広い敷地に、その療養所は建っていた。もともとは財閥関係者の別荘だったものが、生命保険会社の厚生施設として買い取られ、それがまた近年になって主に認知症患者を扱う療養所に変えられた。だから古い趣のある木造の建物と、新しい三階建ての鉄筋の建物が混在して、見るものにいくぶんちぐはぐな印象を与える。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
病院は決して楽しい場所ではない。整然と清潔にされすぎていて、ロビーですらどこかに緊張感を含んでいる。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
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港といっても黒い小石をつみかさねた舟着場が一つあるだけで、浜辺には頼りなげな小舟が二 隻、引き揚げられている。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
(船宿みたいな宿屋から)白樺荘に移って来たと云うのは、驢馬(ろば)を豚に乗り替えたも同然
小沼 丹 / 白孔雀のいるホテル (1955年) amazon
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陰気な、暗い重症患者室
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
バリウム検査は、ローリングするボードの上に寝て、さまざまな角度からレントゲン写真を撮る。この、うねうねとグラインドする床部は、遊園地の機械仕掛けの装置のようでなかなか楽しい。《…略…》ラブホテルの回転ベッドによく似ている。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
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