窓の外には静かな夜が舞い降りていた。

（雪の夜）空気が全部凍りついてしまったように静かだった。

ただ静かすぎる夜中だった。墓場みたいに、荒涼とした空気だけがあった。夢からさめた惨めな空間の 残骸 があった。

周りは、本当に静まり返っていた。藍色の景色。風が、僕の髪をなびかせ、背の低い雑草を揺する。静けさに聞き惚れそうになる。きっと、月が落ちてきたとしても、コインが回るような音が出るくらいだろう。

あらしのあとの晩秋の夜はことさら静かだった。山内（さんない）いちめんの杉森（すぎもり）からは深山のような鬼気（きき）がしんしんと吐き出されるように思えた。

暗い星の冴えた小路

パーキング・エリア内は暮色が辺りを包み、オレンジ色の街灯が灯っていた。

光はまだそこかしこにあふれているのに、一番星と月がひっそりと浮かび、雲が刻々と姿を変えていた。木々の根元には暗闇が忍び込もうとしているが、その気配はまだ弱々しく、夜の訪れまでにはもうしばらく猶予がある。一日のうちで、私たちが一番好きな夕方だった。

朝日を受けて天頂の相輪（そうりん）の金具のひとつひとつにきらめき渡り、後光のようにまばゆい光を投げかけている

月と街灯と暗がりと横切る猫と住宅街の影の中