ワイングラスが倒れる。水島は自分の膝のナプキンをとりあげ、大急ぎで隠そうとするように、テーブルクロスに広がる赤い染みを覆う。

年を取ると重厚な味になるが、若いときにはスッキリとした風味で万人向き

野の花のような香りでふっくらした味わい。舌の中央に一本、きりっとした味が立つ。

コルク栓のおかげでワインは密閉されながら、同時に外気と触れ合うことができ、それによって熟成が進む

ワインを注意深く口にふくみ、それから喉の奥に送りこんだ。しばらくは口の中に心地良い風味が残ったが、数秒待つとそれも、まるで夏の葉の朝露が蒸発するときのように、あとも残さず消えていった。そのようにして舌が、次の料理のひとくちを味わう準備を整えるのだ。

大吟醸の醍醐味は、華やかな香りと、爽やかな酸とシャープな苦味にある

夏の夜に吹きぬけてく涼風のような軽くてさわやかな白ワイン

一本のビールが心地よく胃の腑に 染み透り、野を馳ける火のように体のすみずみまで熱く広がっていく。

焼け付くような舌触りの酒

あまり早く酔ってしまいたくない。夜はまだ長い。