往来には厨 の煙とも夕靄 ともつかぬ薄い霧がただよって
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:25% 作品を確認(青空文庫)
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霧・かすみ・もや
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前後の文章を含んだ引用
......時にはいつのまにか、乳母が住む下谷 池 の端 の或 る曲がり角 に来て立っていた。 そこで葉子はぎょっとして立ちどまってしまった。短くなりまさった日は本郷 の高台に隠れて、往来には厨 の煙とも夕靄 ともつかぬ薄い霧がただよって、街頭のランプの灯 がことに赤くちらほらちらほらとともっていた。通り慣れたこの界隈 の空気は特別な親しみをもって葉子の皮膚をなでた。心よりも肉体のほうがよけいに定子......
単語の意味
夕靄(ゆうもや)
往来(おうらい)
夕靄・・・夕方に辺りを覆う靄(もや)。
往来・・・1.行き来(いきき)。行ったり来たりすること。
2.道路。通り。
2.道路。通り。
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霧にぬれ透 った登山服や毛布なども並みたいていの重さではありません。
芥川龍之介 / 河童
風が霧の流れを幕のようにはためかせて傍若無人に吹きちぎっていく。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
霧が切れると、森も草原も水晶の粉をまいたようにキラめく
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
太陽は、少し西のほうに寄ってかかり、幾片かの蝋 のような霧が、逃げおくれてしかたなしに光りました。
宮沢賢治 / 風の又三郎
水のように濃くこめた霧
小林多喜二 / 蟹工船
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山の稜線を隠すミルク色の霧
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
雨から身をよけることはできない。犬たちはみんな尻の穴までぐしょ濡れになり、あるものはバルザックの小説に出てくるカワウソのように見え、あるものは考えごとをしている僧侶のように見えた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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