妙にやる瀬ないさびしい気分になっていた。強い男の手で思い存分両肩でも抱きすくめてほしいようなたよりなさを感じた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:15% 作品を確認(青空文庫)
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寂しい
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前後の文章を含んだ引用
......と返答をしていいのか、いうべき事は腹にあるけれども言葉には現わせないふうだった。部屋 は息気 苦しいほどしんとなった。 葉子は自分の言葉から、その時のありさまから、妙にやる瀬ないさびしい気分になっていた。強い男の手で思い存分両肩でも抱きすくめてほしいようなたよりなさを感じた。そして横腹に深々と手をやって、さし込む痛みをこらえるらしい姿をしていた。古藤はややしばらくしてから何か決心したらしくまともに葉子を見ようとしたが、葉子の切 なさそ......
単語の意味
妙(みょう)
両肩(りょうけん・りょうかた)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
両肩・・・左右両方の肩。双肩(そうけん)。
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私は、まだこのひとと居たかった。このひとの持つ淋しさの層は、人類の歴史と同じくらい厚く、そこに吹く風は誰も振り向かなくなった墓石の上を渡って行くように寒々しかった。それでもそれが人間のもともと持っている淋しさによく似たエッセンスを持っているので、このひとと離れ難く、本当は淋しくて仕方ないのにないことにしてごまかした幾千もの夜の痛みが、一挙に吹き出してきた。そして、その洪水に押し流されないためには、このひとといるしかないように思えた。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
サトウのいない夜は、どこかに不完全な感じが漂っている。その不完全さは、淋しいとか恋しいとか、何かを追い求めるような気持ちとは全く違って、ただの単純なあるがままの不完全さだ。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
私は孤独であった。恐ろしいほど、孤独であった。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
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