東山の上が、うす明るく青んだ中に、ひでりにやせた月は、おもむろにさみしく、中空 に上ってゆく。それにつれて、加茂川にかかっている橋が、その白々 とした水光 りの上に、いつか暗く浮き上がって来た。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:70% 作品を確認(青空文庫)
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月の光・月明かり
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前後の文章を含んだ引用
...... ――――――――――――――――― しかしその間も阿濃 だけは、安らかな微笑を浮かべながら、羅生門 の楼上にたたずんで、遠くの月の出をながめている。東山の上が、うす明るく青んだ中に、ひでりにやせた月は、おもむろにさみしく、中空 に上ってゆく。それにつれて、加茂川にかかっている橋が、その白々 とした水光 りの上に、いつか暗く浮き上がって来た。 ひとり加茂川ばかりではない。さっきまでは、目の下に黒く死人 のにおいを蔵していた京の町も、わずかの間 に、つめたい光の鍍金 をかけられて、今では、越 の国の人が見ると......
単語の意味
白白・白々(しらじら・しらしら)
青む(あおむ)
中空(ちゅうくう)
水光(すいこう)
白白・白々・・・1.少しずつ明るくなっていくさま。次第に夜が明けていくさま。
2.暗がりの中でわずかな白さが目立つさま。薄明るいさま。
3.白さが際立っているさま。いかにも白いさま。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
2.暗がりの中でわずかな白さが目立つさま。薄明るいさま。
3.白さが際立っているさま。いかにも白いさま。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
青む・・・1.青色になる。青みを帯びる。青々と草木が茂る。
2.顔が青ざめる。
2.顔が青ざめる。
中空・・・1.何も遮(さえぎ)るもののない、空の中ほど。なかぞら。中天。
2.物の内部が空っぽになっていること。うつろ。
2.物の内部が空っぽになっていること。うつろ。
水光・・・水面の光。光っている水。
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蛇の鱗のようなつめたい月の光り
郡 虎彦 / 道成寺(一幕劇) amazon
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まんまえの空の真ん中あたりを長く、すうっと流れ星が流れた。細く光る、真珠のような白だった。そう、そしてそれはかなり長い線で、どんな願い事も言えてしまいそうだった。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
ひとり夜更けの河畔を歩いていると、なにやら音がして振り返った。夜空に花火がひとつ上がっていた。
宮本輝 / 二十歳の火影 amazon
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