飛沫（しぶき）の目に沁みる純白が、眩（まばゆ）い海の濃いブルーとこよない対照をなす

真っ青な目に沁みる海

海がどこまでも渺々として青い

海は、まだ黒雲の下にあって、泥絵具で描いたように光のない灰色

藍を流したような濃い色の潮

海も陸も、黒一色に塗りつぶされて、灯一つみえない。

溪が瀬をなして轟々（ごうごう）と激していた。瀬の色は闇のなかでも白い。

師走しわす の風に叩かれた道頓堀川の水面が、小さくさざめいていた。

Ｈ湾は蒼い水たまりのよう

最初の 嵐 が襲ってきました。五月六日の夜のことです。強風がまず東南から吹きつけてきました。熟練した二十五人の水夫たちも 帆桁 をおろし 前檣ぜんしょう に小帆を揚げましたが、夜半には風波に舟を 委せるだけで、そのうち船の前方に裂け目が入り、浸水がはじまりました。ほとんど一晩の間、我々はこの裂け目に布をつめ、水を外にくみ出す作業を続けねばなりませんでした。