レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。
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ボーリング
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前後の文章を含んだ引用
......東堂が、自分でも不思議だ、と呟いた。「わたしはあんまり、そういうのに熱くなる性格じゃないんだけど」「僕もそうだよ」「北村もあの場にいたら、行け、って叫んだよ」 レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。東堂は知らず、右腕で拳を作り、やった、と声を上げそうになる。「わたし、そのストライクが起きた時に、あれを思い出したんだ」「何?」「新入生の宴会、あの時の西嶋の自......
単語の意味
叫喚(きょうかん)
叫喚・・・わめき叫ぶこと。
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ピンが弾き飛ぶ音が心地良く、自分の身体の中がその音で掃除でもされるかのようだった
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。
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(ファウルボールが客席に飛んできて危険な目に遭う)ボールが落下をはじめた瞬間、これは決して優雅な打球などではないと悟った。止めようもなく見る見るスピードは増し、風を切り、長い旅を経て宇宙から落下してくるもののような熱気を撒き散らしていた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
芥川龍之介 / 芋粥
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