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倉地の心がすさめばすさむほど葉子に対して要求するものは燃えただれる情熱の肉体だったが、葉子もまた知らず知らず自分をそれに適応させ、かつは自分が倉地から同様な狂暴な愛撫あいぶを受けたい欲念から、先の事もあとの事も考えずに、現在の可能のすべてを尽くして倉地の要求に応じて行った。脳も心臓も振り回して、ゆすぶって、たたきつけて、一気に猛火であぶり立てるような激情、魂ばかりになったような、肉ばかりになったような極端な神経の混乱、そしてそのあとに続く死滅と同然の倦怠けんたい疲労。人間が有する生命力をどん底からためし試みるそういう虐待が日に二度も三度も繰り返された。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:47% 作品を確認(青空文庫)
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セックス
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前後の文章を含んだ引用
......しかり飛ばされたりした。そういう時の倉地はあらしのような狂暴な威力を示した。  葉子も自分の健康がだんだん悪いほうに向いて行くのを意識しないではいられなくなった。倉地の心がすさめばすさむほど葉子に対して要求するものは燃えただれる情熱の肉体だったが、葉子もまた知らず知らず自分をそれに適応させ、かつは自分が倉地から同様な狂暴な愛撫あいぶを受けたい欲念から、先の事もあとの事も考えずに、現在の可能のすべてを尽くして倉地の要求に応じて行った。脳も心臓も振り回して、ゆすぶって、たたきつけて、一気に猛火であぶり立てるような激情、魂ばかりになったような、肉ばかりになったような極端な神経の混乱、そしてそのあとに続く死滅と同然の倦怠けんたい疲労。人間が有する生命力をどん底からためし試みるそういう虐待が日に二度も三度も繰り返された。そうしてそのあとでは倉地の心はきっと野獣のようにさらにすさんでいた。葉子は不快きわまる病理的の憂鬱ゆううつに襲われた。静かに鈍く生命を脅かす腰部の痛み、二匹の小魔しょうまが肉と......
単語の意味
倦怠(けんたい)
激情(げきじょう)
荒む(すさむ)
肉体(にくたい)
情熱(じょうねつ)
倦怠・・・1.同じ物事が長く、もしくは何度も続いて、いやになる。飽きて嫌気が差すこと。
2.体や心がだるいこと。「倦怠感」
激情・・・激しく沸き立つ感情。
荒む・・・1.精神的に追い込まれた結果、絶望と不安から無気力になったり、どうでもいいという気持ちになったりする。
2.ものごとの上品さや繊細さが失われて、手を抜いたように荒れた感じになる。
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
情熱・・・感情が熱を持っている心理状態。燃え上がるような激しい感情。ある目標や物事に向かって忍耐強くいちずに打ち込むさま。また、そういう気持ち。熱情(ねつじょう)。
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